THE PATH COFFEE
—移り変わるものを、変わらない器で受け止める。オフィスを街にひらいた、COOGEEの新しい入口。
THE PATH COFFEE — A vessel that stays, for everything that changes.
COOGEE opened its office to the street. A record of what we chose, and what we chose not to do.
COOGEEのプロジェクトの裏側と、そこにある考え方を記録する「COOGEE LOG」。
今回は、2026年9月1日に神宮前二丁目にオープンしたカフェ「THE PATH COFFEE」を取り上げます。
THE PATH COFFEEは、COOGEEの新しいオフィス・ショールームと一体になった、街にひらかれたカフェです。
ビューティーとブランドクリエイティブを事業とする会社が、なぜ自社でカフェをつくり、自分たちで運営しているのか。
空間のクリエイティブパートナーであるNEXUSVII.の今野智弘と、COOGEE代表・鈴木ヒロユキに聞きました。
OVERVIEWこの場所について
THE PATH COFFEEは、「日常の途中にあるコーヒー」をコンセプトにしたカフェです。PATHには、道、通り道という意味があります。目的地としてではなく、仕事へ向かう前や打ち合わせの合間に、ほんの少し寄り道をする。そんな途中の時間のための場所として設計しました。
COOGEEのオフィス・ショールームと一体の空間であり、千駄ヶ谷という街と、COOGEEのクリエイティブワークスペースをつなぐ「通り道」でもあります。
SHOP DATA
- 店舗名
- THE PATH COFFEE(ザ・パス・コーヒー)
- 所在地
- 東京都渋谷区神宮前2-30-32 パークレーンプラザ1F
- 開業日
- 2026年9月1日
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 土・日・祝日 ※イベント開催など不定休の場合あり
- 店舗面積
- 100㎡
- 客席
- カフェテーブルエリア10席/ビッグテーブルエリア6席
- 運営
- 株式会社Coogee(自社運営)
- @the_path_coffee / #thepathcoffee
MENU
シグネチャーコーヒーは、オリジナルブレンド LOST IN TOKYO。東京の街を歩き、少し道に迷い、思いがけない場所に出会う。その寄り道の感覚を一杯に込めています。コロンビア産とタンザニア産をブレンドし、カラメルやローストアーモンドを思わせる風味と、深い余韻が特徴です。重厚感がありながら、飲み疲れない。日常の中で何度でも飲みたくなる一杯を目指しました。
抹茶には、創業1717年、300年以上にわたり京都で日本茶の文化を紡いできた「一保堂茶舖」の抹茶を採用。ほかに、エスプレッソを中心としたドリンク各種、軽食、焼き菓子、アイスクリームを用意しています。
INTERVIEW目的地ではなく、通り道をつくる
CREATIVE PARTNER:今野智弘(NEXUSVII.)
COOGEEのリブランディングにおいて、空間を含めた全体のクリエイティブパートナーを務める。
COOGEE CEO:鈴木ヒロユキ
——まず、なぜ美容の会社がカフェをつくったのでしょうか。
鈴木:
オフィスって、基本的には仕事の用事がある人しか来ない場所なんですよね。取引先か、社員か、面接に来る人か。
移転を考えたときに、そこを変えたいと思いました。用事がなくても人が来る理由を、会社の中につくりたかった。 一番自然なかたちがカフェでした。一人でも入れるし、約束がなくても寄れる。近所で働いている人も、散歩している人も入ってこられる。
もうひとつは、僕らが扱っているものの性質です。美容の仕事をしていますが、人の美意識って美容だけでできているわけではないと思っていて。着ている服も、聴いている音楽も、よく行く店もつながっている。だったら会社としても、そういうものに日常的に触れられる場所を持っておきたかったんです。
今野:
オフィスだけなら、用事がある人しか来ないからね。カフェがあることで、近所の人や、たまたま前を通った人も入ってこられる。会社と街の間に、ひとつ余白が生まれるんだと思う。
——「日常の途中にあるコーヒー」というコンセプトは、どこから出てきたのですか。
鈴木:
この場所を目的地にしすぎない、という判断が先にありました。
目的地にしようとすると、どうしても「わざわざ来てもらうための仕掛け」が必要になります。話題性のあるメニューをつくるとか、期間限定で何かをやるとか。それは僕らの得意分野ではあるんですが、この場所でやりたいことではなかった。
PATHには道、通り道という意味があります。何かに向かう途中で、少しだけ寄る。そういう使われ方のほうが、長く続くと思っています。一度だけ来てもらうより、何回も来てもらうほうが難しいし、価値がある。
今野:
最初から使い方を決め切らないほうがいいよね。コーヒーを飲んで帰る人がいてもいいし、ここで誰かに会って話が始まってもいい。ヒロユキたちが想像していなかった使われ方が生まれたとき、場所として面白くなっていくと思う。
移り変わるものを、変わらない器で受け止める。
——今野さんは、COOGEEのリブランディング全体のクリエイティブパートナーでもあります。この場所には、その考え方がどうつながっているのでしょうか。
今野:
COOGEEは新しいものを早く見つけて、形にすることが得意な会社だよね。それは大きな強みだけど、扱うものが次々に変わるからこそ、会社自身の基準まで一緒に動いてしまうと、何を大切にしているのかが見えなくなる。
だから、変化を止めるのではなく、変化を受け止められる強い器が必要なんだと思う。移り変わるものを、変わらない器で受け止める。 ロゴも空間も、そのための土台になる。
鈴木:
僕らはトレンドを扱う会社で、これまでは韓国コスメとの取引が多かった。新しい商品が出て、人の気分が変わっていく。その動きを捉えるのが仕事です。その変化はこれからも面白がっていきたい。だからこそ、僕らが毎日過ごす場所は、時間が経っても自分たちがいいと思えるもので組み立てたかった。
「流行を追う会社だからこそ、流行に左右されない、普遍的で揺るぎない軸が必要だった」
(今野/八木保氏との対談より)
——COOGEEの企業ロゴを八木保さんに依頼したのは、今野さんでした。
今野:
会社の顔になるものには、流行に消費されない強さが必要だと思った。八木さんは時代を象徴する仕事をしてきた人だけど、つくられたものは今見ても古く感じない。ヒロユキたちのスピード感と、八木さんの普遍的なデザインが交わったら、COOGEEに今までなかった軸が生まれると思った。
鈴木:
新しいロゴを見たとき、すごくシンプルなのに、会社がこれから広がっていける余地があると感じました。主張しすぎないけれど、弱くない。
空間を象徴する椅子には、Jean Prouvéのプロダクトを採用しています。会社の顔になるロゴも、毎日座る椅子も、長く付き合っていくものですから。 ロゴの考え方と、この場所づくりをひとつにつなげたかった。
今野:
プルーヴェの椅子は、その考えに自然につながる。構造がそのまま形になっていて、実際に座って使える。ミリタリーランプも同じで、まず用途があり、その結果として形が生まれている。背景を知らなくても使えるし、気になった人はそこから調べていける。そういうものが日常にあることに意味があると思う。
鈴木:
まずは説明なしで使ってもらいたいんです。座ってみて、いつもの椅子と何か違うと感じる。そのあとに背景を知ると、ものの見え方が少し変わる。
僕が今野さんに惹かれるのは、ものを見る深さなんです。僕も「これ、いいな」と感じることはある。でも、そのものの何に惹かれたのか、どういう背景があるのかまで知りたい。これからCOOGEEが自分たちでブランドをつくっていくなら、選ぶ理由を自分の言葉で持てないといけない。
コーヒーの先に、好きなものが増えていく。
——今野さんは、移動式コーヒースタンド「VLACK COFFEE」も手がけています。コーヒーには、どんな面白さを感じていますか。
今野:
飲み比べたり、道具を試したりしていくうちに、一杯の周りに豆や焙煎、淹れ方、器まで、いろんな入口があることがわかってきたんだよね。
服もそうだけど、最初は単純に好きでいい。そこから「なぜ好きなんだろう」と掘っていくと、見える世界が増えていく。コーヒーは毎日の中にあるから、その入口をつくりやすいと思う。
鈴木:
コーヒーは、自分がここで毎日飲みたいと思える味かどうかで決めました。LOST IN TOKYOという名前は、東京で少し道に迷った先で何かに出会う感じから付けています。
——音響にはOJASを迎えています。これは今野さんの提案だったそうですね。
今野:
空間って写真で見られることが多いけど、実際に入ったときは音がかなり印象を決めてるんだよね。うるさすぎても落ち着かないし、無音でも居づらい。
OJASにお願いしたのは、音量を上げなくても気持ちよく聴こえるから。一人で来ている人も、誰かと話している人も、それぞれにちょうどいい状態がつくれる。そこまで含めて店の空気だと思う。
鈴木:
8月27日のレセプションでは、DJ MUROさんに音をお願いしました。この場所が、一晩だけ目的地になった日です。ただ、つくりたかったのはその次の日からの場所でした。
椅子も照明も音楽も、知識がなければ楽しめないものにはしたくない。まずコーヒーを飲みながら過ごして、その中で一つでも気になるものが見つかればいいと思っています。
今野:
何かを探そうとしていないときに出会ったもののほうが、あとに残ることもあるからね。いつも同じコーヒーを飲みに来て、ある日は音楽が気になる。別の日には椅子が気になる。そうやって興味が横に広がっていくと、場所に通う楽しみも増えると思う。
AFTER TWO MONTHS開けてみて、わかったこと
——オープンから2か月が経ちました。想定と違ったことはありますか。
鈴木:
【要取材:事実のみを短く。3〜4項目、各2〜3行】
- 実際に来ている人の内訳(近所で働く人/業界関係/たまたま通りかかった人)
- 常連と呼べる人が生まれたかどうか。エピソード1つ
- オフィスと繋がっていることで実際に起きたこと(打ち合わせがカフェで始まった、など1つ)
- 想定と違ったこと、運用してから変えたこと
今野:
【要取材:オープン後に来店した際の所感。空間が使われ始めてどう変わったか。1〜2発言】
WHY WE DOなぜ、COOGEEがやるのか
——事業として見たとき、このカフェはCOOGEEにとって何なのでしょうか。
鈴木:
COOGEEは、ビューティーを軸にしたプラットフォーム「NEDALY」をつくっています。メディアがあり、コミュニティがあり、ブランドとクリエイターが出会う場所がある。そこに足りていなかったのが、誰でも入ってこられる入口でした。(→ NEDALYについては別記事で詳しく紹介しています【公開時にリンク挿入】)
コミュニティも、ショールームも、基本的には「すでに関係のある人」が使う場所なんですよね。カフェはそうじゃない。何も知らない人が、コーヒーを飲みに来るだけで入ってこられる。この場所の一番の機能は、関係のない人が関係を持ち始められることだと思っています。
——オンラインでの接点づくりとは考え方が違いますか。
鈴木:
違いますね。
僕らは、体験からデータ、購買までを短い時間で設計する仕事もしています。あれは速さと再現性が価値になる仕事です。
カフェは逆で、時間がかかる。今日来た人が何かを好きになるまで、半年かかるかもしれない。でも、両方持っていないと会社としては弱いと思っています。速い接点だけを持っている会社は、その手法が効かなくなった瞬間に何も残らない。僕らは韓国コスメの波で成長してきたので、そこは実感としてあります。
今野:
変化の速い場所にいるからこそ、帰ってこられる基準があると強いよね。ここで扱うものや集まる人は変わり続けても、来ると落ち着く感覚は残っている。そういう器として育っていけばいいと思う。
——社員にとってはどういう場所になりますか。
鈴木:
毎日、いいものに触れられる場所であってほしいです。
僕がいいと思うものを全員が好きになる必要はなくて。いつもと違う椅子に座ったときに、何が違うんだろうと少し気になる。その積み重ねが、ブランドをつくる仕事には効いてくると思っています。選ぶ理由を持っている人が集まっている会社にしたい。 そのための環境でもあります。
——最後に、数年後どうなっていたらうれしいですか。
鈴木:
「あそこで待ち合わせよう」と普通に言ってもらえるようになったら成功だと思います。
仕事で初めて来た人が、次は自分の時間に来てくれる。近所で働いている人が、いつもの一杯を買いに来る。特別なことがない日にも使ってもらえるようになると、この場所が少しずつ街になじんでいく。
COOGEEがやっている会社だと、あとから知ってもらうくらいでちょうどいいと思っています。
今野:
空間は、でき上がった日の写真だけでは完成しないからね。人が座って、コーヒーを飲んで、会話をして、何度も使われることで、その場所の空気ができていく。街の人たちに使われることで、COOGEEだけではつくれない場所になっていくんだと思う。
PROJECT CREDITS
- 店舗コンセプト・内装ディレクション・コーヒーの味の決定
- 鈴木ヒロユキ(COOGEE)
- Creative Partner
- 今野智弘(NEXUSVII.)
- Cafe Logo Design
- 滝澤千景
- Architecture
- ORANGE AND PARTNERS / ReBoot Inc. / DINER inc.
- FFE
- inter office ltd.
- Coffee Direction
- NOG COFFEE ROASTERS
- Food Direction
- DINER inc.
- Audio
- OJAS
- Reception Music(2026.8.27)
- MURO
- Music Curation
- KENT KUDO a.k.a DJ K27T【要確認:変更の可能性あり】
- Special Thanks
- Bricolage&Lo inc. / MY.STUDIO inc.
- COOGEE Corporate Logo Design
- 八木保
- 運営
- 株式会社Coogee